体外衝撃波治療

 体外衝撃波治療とは音速を超えた物体から発生する衝撃波を応用したもので、30年程前から尿管結石に対するメスを使わない画期的な治療として導入されました。体外の装置によって造られた衝撃波を結石にむけて集中させて結石を砕き、砂状にして尿と一緒に体外へと排出させる治療法です。
 この治療方法は整形外科にも応用されるようになり、ヨーロッパを中心に普及し、足底腱膜炎や腱付着部炎などの多くの疼痛性疾患の除痛を目的とした治療に応用されています。現在欧米ではスポーツ選手を中心に、低侵襲で安全かつ有効な治療法の一つとして確立されています。
 足底腱膜炎や上腕骨外上顆炎などの腱付着部の炎症性疾患は比較的多く、従来から安静、ストレッチ、消炎鎮痛剤の外用や内服、ステロイド剤の注射等が行われていました。これらの保存的治療で多少時間がかかっても、最終的には治癒しますが、まれに長期に慢性化したり、日常生活に支障をきたしたり、スポーツ活動の断念を余儀なくされている重症の方もいます。
 これら難治化する原因は分かっていませんが、少なくとも病変部では血行が不良なため組織修復が遅延していたり、分布する神経組織が過敏になっていることが関係していると考えられています。
 衝撃波療法の作用機序は、病変部で痛みを感知する自由神経終末の変性を誘導して、無痛覚とすることにあります。また衝撃波が局所的に血管新生を誘導し、組織修復を促すことが分かっています。
 当クリニックでは平成25年9月に最新治療器である整形外科用の体外衝撃波疼痛治療装置「ドルニエ社 Epos Ultra」を導入しました。現在、体外衝撃波疼痛治療は難治性の足底腱膜炎にのみ保険適応になっていますが、下記疾患に効果があることが報告されています。
 自費診療になりますが、当クリニックでも上腕骨内外側顆炎(テニス肘)や内側上顆炎、石灰沈着性腱板炎、アキレス腱炎に対して確実に疼痛軽減効果が得られています。

国際整形外科体外衝撃波学会(ISMST)では、下記の疾患が体外衝撃波治療の適応疾患(参考)と認められています。

足部 足底腱膜炎、アキレス腱炎及び付着部炎
膝蓋腱炎
上腕骨外側上顆炎、内側上顆炎
石灰沈着性腱板炎、腱板炎
骨折 偽関節、疲労骨折
その他 早期の離断性骨軟骨炎

 

治療の特徴
  • 1回の治療時間は約30分です。
  • 麻酔等は必要ありません。
  • 外来で治療可能です。
  • 副作用がありません。
  • 治療後もすぐに歩行でき、運動も問題ありません。
  • 1回で効果が得られない場合は、数週間の期間をおいて、複数回治療を行います。

*治療を受ける際の同意事項については、当クリニックに配布しているパンフレットに記載しています。尚、初診当日に照射を希望される方は必ず事前に電話予約して下さい。
パンフレットはPDF版eswtのクリックでご覧になれます。